差押・仮差押登記がある物件...

差押・仮差押登記がある物件の売却及び買主の融資実行について②(長野市任意売却の実務)

前回、担保権が付いている不動産の所有権移転登記に際しては、担保権の同時抹消が必要というお話をしました。

今回は、差押と仮差押の同時抹消の実務についてお話します。

差押とは、借金などの返済を怠っている債務者に対して、債権者が強制的に換金可能なものを差押えて取り立てを行えるようにすることです。またこの決定・命令は裁判所によって行われ、差押登記も裁判所の嘱託となります。

差押されている物件を、競売前に売却し、売却資金で債権を返済するのが、任意売却ですが、差押の抹消登記も裁判所の嘱託となります。

買主が融資を受けて取引する場合の具体的な流れとしましては、

1 所有権移転登記手続き

1 担保権設定登記手続き(つなぎ融資の場合はなし)

1 融資実行

1 売買代金の授受

1 売主が債権を返済

1 債権者が差押の取下書を発行

ここまでは取引会場で同時に行います。

2 差押の取下書を裁判所に提出

3 裁判所は嘱託で差押登記を抹消

→最終的な登記完了は、所有権移転と担保権設定、差押が抹消された状態となります。

ここで注意が必要なのですが、差押の抹消は裁判所の嘱託となりますので、担保権の抹消のように連件の登記申請となりません。

裁判所へ取下書の提出→嘱託での差押登記抹消は、裁判所が行うものですから、疑う余地はないのですが、所有権移転登記(担保権設定登記)と数日のタイムラグが生じます。

買主に融資する金融機関は、同時抹消を基本的に求めてきますので、差押、仮差押が付いている物件の融資にあたっては、上記の様な流れとなる旨を事前に根回する必要があります。根回ししていないと、決済当日に融資が実行できないなんて事になってしまう恐れがあります。

金融機関は、差押える側にも往々にしてなりますので、この流れはよく分かっていると思いますが、融資実行の際には、保全第一となりますので、事前に丁寧な説明が必要です。

長野市周辺で、差押物件の任意売却等ご相談がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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